変形性膝関節症の症状には、膝のこわばりや痛み、変形などがあります。
最初は関節軟骨の目に見えないほどの小さな傷から始まります。これらの症状には一気にあらわれず、何年もかけて徐々に進行していくのが特徴です。そこで、 変形性膝関節症の進み方を「前期」「初期」「中期」「末期」と4段階に分けて説明します。
まず、前期症状ですが、関節軟骨の表面に小さな傷がついたり、劣化したりします。これを「軟骨変性」といいます。軟骨変性が進むと、関節軟骨の粘りと弾力性はしだいに失われていき、関節のもつ本来の衝撃吸収能力はだんだんと低くなります。この過程が変形性関節症の「前期」で、変形性膝関節症を特徴づける時期といえます。
しかし、関節軟骨はX線写真では写らないので、この時期にX線写真を見ても変化は現われません。 何らかの原因で少しずつ関節軟骨が削れていくのが変形性膝関節症の前期から初期にかけて起こります。また、軟骨変形がさらに進行して関節軟骨の粘りや弾力性が失われると、荷重を軟骨下骨にうまく分配していた機能がくずれ、軟骨下骨の1ヵ所に荷重が集中してしまい、軟骨下骨が厚く硬くなります。
これを骨硬化といいます。さらに荷重が集中している軟骨下骨の周辺部は、負担を減らそうとして軟骨下骨や皮質骨を増殖させ、とげや土手のような出っ張りをつくります。このとげのようなものを骨棘(こつきょく)、土手のようなものを骨堤といいます。
初期段階になると、関節軟骨が擦り減っているのでX線写真でも骨棘や骨堤などの変化も見られるようになります。また、骨硬化が起きた部分は、X線写真には白く写ります。また、前期・初期は、はっきりした強い痛みがあります。さらに、特定の動作に対して痛みが起こるようになり、活動と痛みの関係がしだいにはっきりしてきます。
進行期には、関節裂隙はますます狭くなります。骨棘や骨堤などの骨の変形も進行し、X線写真でも変形性膝関節症とわかりやすくなります。また、その人の関節の使い方の癖で、偏った荷重が関節にかかり、骨や関節が変形することもあります。
多くは膝の内側にだけ体重の荷重が集中しやすいので、左右ともに膝の内側の関節軟骨だけが擦り減り、骨が変形してO脚変形になったり、横からみて膝がまっすぐ伸びない状態になります。このような変化は、変形性膝関節症の進行期から末期にかけて起こり、関節が変形してしまうと元に戻すことはできません。
その他滑膜炎による滑膜の増殖、関節包などの軟部組織の増殖が加わると、関節の変形はより目立つようになります。慢性的に水がたまっているときも、関節の変形は目立ちます。痛みの症状としては、普通に歩くだけでも痛むようになります。さらに安静していても痛みがなかなか治まらないので日常生活に支障を感じるようになります。
又、人によっては重いような感じや鈍痛がしたりしますが、無痛の人もいるようです。
末期になると関節軟骨は完全に擦り減ってしまい、軟骨下骨が露出するようになります。軟骨下骨は露出するとさらに硬くなり、表面は摩擦によって磨いたようになり、これを象牙質化といいます。
X線写真でも、膝の関節とはまったく違うもののように見え、形状からも普通の膝の動きができないことがわかります。場合によっては、関節のすき間がまったくなくなり、大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)がくっついてしまいそうに見えることもあります。見た目には0脚に変形してくる事が多いようです。
進行期や末期になり、痛みが続くようになると、楽しんできたスポーツや旅行などの趣味が楽しめなくなったりします。また、買い物などの外出にも不便を感じるようになって、家に閉じこもりがちになり、気持ちも落ち込みやすくなって、抑うつ的な精神状態になることもあります。